看護用語集

徘徊

はいかい

徘徊とは昼夜、屋内外に限らず、目的なく歩き回っているように見える行動のことである。

徘徊の代表的な原因には、睡眠時遊行症(夢遊病)や認知症などがある。睡眠時遊行症とは、睡眠中に無意識の状態で歩き回る現象で8~12歳がピーク1)といわれており、成長するにつれて症状が落ち着くことが多い。成人期以降は遺伝、精神的ストレス、過度の飲酒、月経時などのホルモンバランスの影響などで発症する場合もあるが、原因不明のケースも多い。

認知症が原因の徘徊は、記憶障害や見当識障害などの中核症状の影響で現れる行動・心理症状(BPSD)の1つである。前頭側頭型認知症では徘徊と似ているが、同じ時間に同じ行動をする常同行動が起こり、徘徊とは異なる症状であり区別しなければならない。

認知症による徘徊は、転倒、転落、交通事故などの怪我や行方不明などに繋がる可能性もある危険な行動であり、入院患者さんの場合は点滴ドレーン類の自己抜去の恐れもある。ただし患者さんにとって何気ない習慣や不安やストレスを解消するための行動であるため、看護師徘徊で生じるリスクを低減させるための環境整備や見守り体制を強化しながら、患者さんに寄り添った対応が求められる。

例えば、行動がエスカレートしないよう、患者さんを責めるのではなく繰り返し傾聴を行い適切な声掛けを模索する、患者さんの状態に応じて安心できるような環境づくりを心がける、付き添いや見守りによって危険を回避するなど、かかわり方を工夫することでできる限り患者さんに寄り添った看護が提供できる。

●用語を使用した例文
病棟内の徘徊で迷子になっていた患者さんだが、自室前に大きく名前を貼り出すことにより自力で帰れるようになった。

●引用文献
1)健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会:健康づくりのための睡眠ガイド 2023.(2024年11月24日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf 

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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