看護用語集

エス

えす

エス(es)とは、精神分析学の創始者であるジークムント・フロイト(以下、フロイト)が提唱した精神分析学の概念で、本能的な欲求や衝動(食欲、睡眠欲、性欲といった生命維持にかかわる欲求、成長したい欲求など)をつかさどるエネルギー(リビドー)の貯蔵庫である。イド(ido)ともいう。

フロイトは、人間の心を「エス(es)」「自我(ego)」「超自我(super ego)」の3つの構造で成り立っていると捉えた。人間が生まれたとき、心はエスのみに支配されているが、しつけや教育などにより超自我が形成され、エスと超自我の調整役として自我が発達していくと考えた。

またフロイトは、人間の意識を「意識(今気がついている心の部分)」「前意識(努力によって意識化できる心の部分)」「無意識(抑圧されていて意識化しにくい心の部分)」の3つの構造で捉え、エスは無意識の領域に属するとした。

■参考文献
●ピエール・ババン::フロイト—無意識の扉を開く.小此木啓吾,監.創元社,1992.
●南裕子,他監:セルフケア概念と看護実践―Dr.P.R.Underwoodの視点から―.へるす出版,1987.


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:乙黒千鶴(有明医療大学看護学部看護学科 講師)

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