看護用語集

体液量バランス異常リスク状態

たいえきりょうばらんすいじょうりすくじょうたい

体液量バランス異常リスク状態とは、体内の水分が血管内や細胞外で減ったり増えたり、急に移動したりすることで、体液の分布や量が正常範囲から逸脱し、健康障害を招く恐れがある状態である。NANDA-Iの看護診断では「血管内液・組織間液のすべてまたはいずれかが、減少、増加、細胞内外に急激にシフトしやすく、健康を損なうおそれのある状態1)」と定義されている。

要因には、体液の減少や増加、急激な移動にかかわるものが挙げられる。体液の減少や喪失には、出血、嘔吐、下痢発汗、筋肉量の減少、水分・食事摂取量の低下、利尿薬や下剤などの使用が影響する。体液の増加には、心不全や腎不全による水分貯留、低アルブミン血症に伴う浮腫腹水胸水、不適切な輸液管理などが関与する。また、感染症や炎症、手術侵襲などによって血管透過性が亢進することで、体液が血管内液と組織間液の間で急激に移動しやすくなる。

看護師はこれらの要因を踏まえて、バイタルサイン、尿量、体重変化、浮腫の有無、血液検査による電解質やアルブミン値の変化などを継続的に観察し、異常の早期発見や適切な補給方法を検討して予防的介入を行う。

●用語を使用した例文
低Na血症状がある患者さんに、体液量バランス異常リスク状態看護計画を立案した。

●用語に関連する国試過去問
A君(15歳、男子)は、蒸し暑い夏の午後に行われたサッカーの試合に出ていた。A君は試合中に大量の汗をかいて、気分が悪くなったので多量の水道水を飲み、日陰で休んでいたが、突然、意識消失して倒れた。このときのA君の細胞外液のナトリウムイオン濃度と水分量の正常時に対する割合を図に示す。

このときのA君の体液の状態で正しいのはどれか。
1. 細胞内液は減少している。
2. 血漿浸透圧は上昇している。
3. 循環血液量は減少している。
4. ヘマトクリットは低下している。

第114回看護師国家試験(2025)

解答

3


●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.212.

同音異義語・略語
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