腹水
ふくすい
腹水とは、腹腔内に水が過剰に溜まった状態のことである。貯留した水の成分によって、漏出性腹水と滲出性腹水に分けられる。漏出性腹水の原因となる疾患は、肝硬変、心不全、低アルブミン血症、腎疾患など、滲出性腹水は、悪性腫瘍や細菌などによる腹膜炎が原因疾患として挙げられる。
肝硬変によって起こる漏出性腹水は、門脈圧亢進と低アルブミン血症が主な原因である。門脈圧の上昇による血漿の腹腔内漏出と、血中アルブミンの減少に伴う膠質浸透圧の低下から、血管内に水を保持することができず腹腔内へ漏出することで腹水が起こる。悪性腫瘍による腹膜炎が原因となる滲出性腹水は、がんの浸潤や腹膜の炎症に伴う血管透過性の亢進によって生じるものと考えられる。
腹水の臨床症状としては、腹部膨満、悪心・嘔吐、腹水貯留によって横隔膜や腸管の動きが制限されることによる呼吸困難や食欲不振、下大静脈の圧迫による下肢浮腫などが挙げられる。
治療は原因疾患に対する治療と腹水に対する管理である。腹水に対する管理では、まず安静と水分・塩分制限、利尿薬の使用を行う。患者さんの状態が改善されない場合、腹水穿刺、アルブミン補充、CART(腹水濾過濃縮再静注法)なども選択される。難治性腹水の場合は肝硬変の予後不良因子の1つであるため、治療だけでなく心理・精神的な介入方法も検討する必要がある。
●用語を使用した例文
肝硬変による腹水貯留に対して利尿薬を使用しているため尿量の推移を観察する。
●用語に関連する国試過去問
Aさん(50歳、男性)は肝硬変と診断され、腹水貯留と黄疸がみられる。Aさんに指導する食事内容で適切なのはどれか。
1.塩分の少ない食事
2.脂肪分の多い食事
3.蛋白質の多い食事
4.食物繊維の少ない食事
第110回看護師国家試験(2021年)
●参考文献
日本消化器病学会・日本肝臓学会:肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)(2024年6月14日閲覧). https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/kankouhen2020.pdf 国立国際医療研究センター:肝炎情報センター 難治性腹水患者の看護(2024年6月15日閲覧). https://www.kanen.ncgm.go.jp/study_download/20141205_04.pdf
肝硬変によって起こる漏出性腹水は、門脈圧亢進と低アルブミン血症が主な原因である。門脈圧の上昇による血漿の腹腔内漏出と、血中アルブミンの減少に伴う膠質浸透圧の低下から、血管内に水を保持することができず腹腔内へ漏出することで腹水が起こる。悪性腫瘍による腹膜炎が原因となる滲出性腹水は、がんの浸潤や腹膜の炎症に伴う血管透過性の亢進によって生じるものと考えられる。
腹水の臨床症状としては、腹部膨満、悪心・嘔吐、腹水貯留によって横隔膜や腸管の動きが制限されることによる呼吸困難や食欲不振、下大静脈の圧迫による下肢浮腫などが挙げられる。
治療は原因疾患に対する治療と腹水に対する管理である。腹水に対する管理では、まず安静と水分・塩分制限、利尿薬の使用を行う。患者さんの状態が改善されない場合、腹水穿刺、アルブミン補充、CART(腹水濾過濃縮再静注法)なども選択される。難治性腹水の場合は肝硬変の予後不良因子の1つであるため、治療だけでなく心理・精神的な介入方法も検討する必要がある。
●用語を使用した例文
肝硬変による腹水貯留に対して利尿薬を使用しているため尿量の推移を観察する。
●用語に関連する国試過去問
Aさん(50歳、男性)は肝硬変と診断され、腹水貯留と黄疸がみられる。Aさんに指導する食事内容で適切なのはどれか。
1.塩分の少ない食事
2.脂肪分の多い食事
3.蛋白質の多い食事
4.食物繊維の少ない食事
第110回看護師国家試験(2021年)
解答
1
●参考文献
日本消化器病学会・日本肝臓学会:肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)(2024年6月14日閲覧). https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/kankouhen2020.pdf 国立国際医療研究センター:肝炎情報センター 難治性腹水患者の看護(2024年6月15日閲覧). https://www.kanen.ncgm.go.jp/study_download/20141205_04.pdf
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