看護用語集

利尿薬

りにょうやく

利尿薬とは、体内に蓄積された余分な水分や電解質の排泄を促す薬剤である。尿量の増加による体重減少や、浮腫の改善、血圧低下などの作用があることから、浮腫や高血圧の管理に用いられる。一方で、過剰な利尿は脱水電解質異常が生じ、循環動態や呼吸状態に悪影響を及ぼすことがある。

利尿薬には、ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、カリウム保持性利尿薬、浸透圧利尿薬など、いくつか種類があり、患者さんの病態、緊急性、腎機能、電解質状態に応じて使い分けられる。

表1 利尿薬の種類
種類作用部位主な特性
ループ利尿薬 ヘンレループ上行脚 強力な利尿作用がある
心不全肺水腫、高血圧症などの治療で使用される
低カリウム血症に注意
サイアザイド系利尿薬 遠位尿細管 血圧浮腫の管理で使用される
低カリウム血症、高尿酸血症に注意
血糖値の上昇に注意
カリウム保持性利尿薬 集合管
遠位尿細管
他の利尿薬と併用することが多い
低カリウム血症を防ぐ
高カリウム血症に注意
浸透圧利尿薬 尿細管 浸透圧を上昇させることで水の再吸収を抑制する
頭蓋内圧亢進時などに使用される
看護師は、それぞれの利尿薬の作用機序と特性を理解したうえで、適切なケアを行うことが求められる。例えば、低カリウム血症に伴う不整の有無を観察することや、バイタルサインや血液検査の継続的なモニタリングを行い、脱水電解質異常の早期発見に努める。また、内服時間を調整して夜間の排尿回数を減らす工夫をするなどして、転倒リスクの軽減を図る。

●用語を使用した例文
利尿薬の投与後に尿量と電解質の変化を観察していく。

●用語に関連する国試過去問

ループ利尿薬について正しいのはどれか
 1.作用発現が速い
 2.眠前の服用が望ましい
 3.抗不整薬として用いられる
 4.副作用〈有害事象〉に高カリウム血症がある
  第110回看護師国家試験(2021年)
 
解答

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監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:p

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