看護用語集

自律神経過反射

じりつしんけいかはんしゃ

自律神経過反射(AD:autonomic dysreflexia)とは、背中上部より高位の脊髄損傷によって自律神経が過剰に反応する状態のことである。

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類がある。通常これらはどちらかが優位にはたらき、主に脊髄交感神経節・脳幹・視床下部・大脳皮質でコントロールされている。しかし、脊髄損傷によって脳との連絡が遮断されると、他の臓器など全身からの感覚情報を受けて反射(血管収縮・血圧上昇)した後も脳からの抑制が伝達されず、自律神経の反射が続く。

自律神経過反射が起こると、発作性高血圧、徐発作、頭痛、嘔気、顔面紅潮、鼻づまり、めまい、動悸、発汗など様々な症状が引き起こされる。

自律神経過反射は、膀胱の充満、尿路感染などの感染症、便秘下痢、消化管潰瘍、腹膜炎、褥瘡手術カテーテル処置の疼痛、妊娠、月経痛、高温、寒冷など、下半身への過度な感覚刺激が原因となる。特に脊髄損傷の患者さんは膀胱留置カテーテルを使用した排尿を行うため、カテーテルの閉塞による膀胱の充満が原因となることが多い。

看護師自律神経過反射予防するために、膀胱留置カテーテル尿量の定期的な観察交換スケジュールを厳守すること、排便コントロールや食事の配慮をすること、衣服のしめつけや移乗に注意することなどが必要である。また、陥入爪にシーツが引っかかった状態や、褥瘡や痔核も発生の原因になり得るため、早期発見・早期治療に努める。

自律神経過反射が発生した場合は「血圧を下げること」と「刺激の原因を除去すること」が大切であり、速やかに対処するために人手を確保する。患者さんが臥床している場合は、座位にして血圧を下げ、必要であれば医師の指示で降圧薬を使用する。同時に原因を特定し、例として膀胱の充満が原因であれば、膀胱留置カテーテルの閉塞や屈曲を解除し、尿流出の有無を確認する。カテーテルを留置していない患者さんの場合は間欠的導尿を検討する。

●用語を使用した例文
脊髄損傷で膀胱留置カテーテルを挿入中の患者さんが尿路感染を起こしている。尿中の浮遊物が多く、カテーテル閉塞による自律神経過反射のリスクがあるとアセスメントした。

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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