看護用語集

横紋筋融解症

おうもんきんゆうかいしょう

横紋筋融解症とは、骨格筋の筋細胞が何らかの原因で融解・壊死することで、筋肉内にある成分が血液中に漏れ出る病態のことである。筋細胞が破壊されると、筋肉内のミオグロビンやクレアチンキナーゼ(CK)、カリウム、リン、乳酸脱水素酵素(LDH)などが血液中に放出される。

主な原因として、激しい運動や重度の熱中症、長時間の同一部位圧迫、外傷、感染症、横紋筋融解症を起こしやすい医薬品の使用などがある。医薬品の例として、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)が挙げられる。主な症状は、筋肉痛や腫脹、筋力低下、倦怠感尿量低下、赤褐色尿(ミオグロビン尿)などである。

横紋筋融解症が重症化しミオグロビンが血液中に大量に漏れ出ると、腎臓の機能が障害され、急性腎障害(AKI)が引き起こされることに繋がる。また、筋細胞の破壊による血液中へのカリウム放出に加えて、急性腎障害に伴う尿量低下により血中カリウム量がさらに上昇し、致死性不整が生じる可能性もある。

治療は原因の除去と症状に合わせた対症療法である。重症化の場合は持続的腎機能代替療法(CRRT:Continuous Renal Replacement Therapy)のうち、持続的血液濾過透析療法(CHDF:Continuous Hemodiafiltration)を開始する場合もある。

●用語を使用した例文
横紋筋融解症のため尿量やカリウムの推移に注意する。

●用語に関連する国試過去問

薬剤とその副作用(有害事象)の組合せで正しいのはどれか。
 1. 副腎皮質ステロイド ― 低血糖
 2. ニューキノロン系抗菌薬 ― 髄膜炎
 3. アミノグリコシド系抗菌薬 ― 視神経障害
 4. スタチン〈HMG-CoA還元酵素阻害薬〉 ― 横紋筋融解症
 第107回看護師国家試験(2018年)
 
解答

4

 

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:p

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