看護用語集

意思決定葛藤

いしけっていかっとう

意思決定葛藤とは、自身の価値観を揺さぶるような複数の選択肢の間で迷いが生じ、どの方針を選択すべきか確信がもてず、判断が難しい状態を指す。NANDA-Iの看護診断では「競合する活動の選択肢には、価値観と信念への危険・損害・挑戦を伴うため、とるべき活動方針が不確かな状態1)」と定義されている。

臨床では、治療法の選択、手術の同意、延命治療の希望、退院先や介護サービスの利用など、患者さんの生活や人生観に直結する選択の場面で起こりやすい。要因には、情報不足や理解の不十分さ、過去の経験や先の見通しが立たないことによる不安に加え、自分の考えと現実との矛盾、信念が損なわれる恐怖など、自身の価値観にかかわる心理的背景が深く影響する。また、家族の意向と本人の希望の不一致や、周囲からの強い干渉も意思決定を困難にする要因となる。

この状態になると、同じような質問を繰り返す、決定を先延ばしにする、決めた後も迷いや後悔を口にするといった行動がみられる。また、表情の緊張や不眠食欲低下などの身体的な不安症状を示すこともある。結果として、治療や生活調整の遅延を招き、セルフケアにも影響を及ぼす恐れがある。

看護師は、まず患者さんが何を大切にしているか(価値観・生活背景など)を丁寧に傾聴し、理解度に応じた情報提供を行う。各選択肢のメリット・デメリットを一緒に整理して言語化し、患者さんが納得して選べるよう、意思決定プロセスを支えることが重要である。また、必要に応じて家族面談の調整や多職種連携を行い、本人の意向が適切に反映される環境を整える。

●用語を使用した例文
治療方針の選択に迷いがみられた患者さんに対し、意思決定葛藤の要因と価値観の整理を観察ポイントとした看護計画を立案した。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.443.

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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