看護用語集

手術部位感染リスク状態

しゅじゅつぶいかんせんりすくじょうたい

手術部位感染リスク状態とは、術後創部感染が起こりやすい状態を指す。NANDA-Iの看護診断では「手術部位に病原体が侵入しやすく、健康を損なうおそれのある状態1)」と定義されている。

外科的処置を受ける患者さんは、皮膚バリアの破綻や侵襲的手技により易感染状態となる。特に、高齢や肥満、高血圧栄養、喫煙などの患者さんや、糖尿病や既往の感染症などの疾患、免疫抑制剤の使用などの治療歴がある場合は、感染リスクが高まる。さらに、抗菌薬予防投与の不足、術中低体温、広範囲あるいは長時間の手術もリスク要因となり得る。

感染が発生すると、創部治癒の遅延や再手術、入院延長に繋がるだけでなく、敗血症や多臓器不全など、生命を脅かす合併症を引き起こす恐れがある。

看護師は、創部の清潔保持、無菌操作の徹底、抗菌薬の適切な投与、術後ドレーン管理、バイタルサインや炎症反応を継続的にモニタリングし、手術部位感染予防と異常の早期発見に努める。また、患者さんには手指衛生創部観察の方法を指導し、自己管理を支援することも重要である。

●用語を使用した例文
手術当日以外の剃毛は、皮膚に微小外傷を生じやすく、手術部位感染リスク状態の増大に繋がる。

●用語に関連する国試過去問
術後合併症で術前の喫煙と最も関連が強いのはどれか。
1. 尿 閉
2. 腸閉塞
3. 手術部位感染
4. ダンピング症候群
第103回看護師国家試験(2014年)
解答

3


●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.462.

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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