看護用語集

思考過程混乱

しこうかていこんらん

思考過程混乱とは、物事を整理して考える能力が低下し、意思決定や判断、問題解決などに支障が出ている状態を指す。NANDA-Iの看護診断では「認知機能が崩壊し、概念やカテゴリーの発展・推論・問題解決に関わる精神機能に影響を及ぼしている状態1)」と定義されている。

この状態では、患者さんは会話の筋を追うことが難しくなり、論理的に考えることや適切に判断することが困難になる。具体的な要因としては、精神疾患、脳血管障害、認知症せん妄、薬物の影響などが挙げられる。慢性疾患に伴ってこの状態が持続する場合もあれば、体調不良や睡眠不足などによって一時的に起こる場合、さらには恐怖不安・ストレスなど心理的な要因が影響する場合もある。

看護師は、患者さんに情報を簡潔に伝えるよう工夫することが大切である。また、患者さんが安心して気持ちを表現できるよう、安全で静かな環境を整え、支援することで不安や焦りを和らげることができる。

さらに、家族が状況を理解しないまま接すると、誤解や負担が増す可能性があるため、看護師は家族と協働して支援方法を共有し、患者さんが安心して治療や療養できる体制を整えることも必要である。

●用語を使用した例文
統合失調症による思考過程混乱に対し、看護計画では「患者さんの混乱を助長しないよう、傾聴を通じて不安や焦りを和らげること」を目標とした。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.315.

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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