睡眠パターン混乱

睡眠パターン混乱とは、さまざまな要因によって一時的に正常な睡眠が妨げられた状態である。NANDA-Iの看護診断では「外的要因による、限られた時間の覚醒^1） 」と定義されている。

睡眠パターン混乱には、入眠までに時間がかかる入眠困難、入眠しても夜間に何度も目が覚める中途覚醒型、入眠後に早い時間に目が覚める早朝覚醒型などがある。不規則な睡眠が続くことで日中の眠気だけでなく、集中力の低下、倦怠感、意欲の低下などが生じ、日常生活や心身の健康に悪影響を及ぼす場合がある。

この背景には、呼吸困難感、疼痛、頻尿、加齢などの身体的要因、不安、ストレス、うつ状態などの精神的要因、生活環境の変化や騒音、不規則な生活リズムなどの環境要因が挙げられる。入院中の環境では、特に夜間の看護ケアや医療機器の音、ルーチンの検査などが睡眠を妨げる要因になることがある。

また、睡眠パターン混乱は慢性疼痛を伴う疾患、うつ病や不安障害などの精神疾患、認知症やせん妄、呼吸困難感を引き起こす心不全や慢性閉塞性肺疾患（COPD）など、さまざまな疾患とも関連している。

睡眠は身体的・精神的な健康に影響するため、看護師は患者さんが質のよい睡眠を確保できるよう支援する必要がある。まずは患者さんの睡眠状況を把握するために、入眠時間、覚醒回数、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下の有無について、患者さんやその家族から情報を収集する。また睡眠環境を確認し、照明や騒音レベルを調整するなど、睡眠を妨げる要因への対応を検討する。

●用語を使用した例文
睡眠パターン混乱の患者さんに対して昼夜のリズムをつけたケアを行う。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン，編：NANDA-I 看護診断 定義と分類.第12版 医学書院，2021，p.254

監修：林 洋（東京有明医療大学 学長）
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