看護用語集

混合性尿失禁

こんごうせいにょうしっきん

混合性尿失禁とは、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の2種類の尿失禁が混合した症状である。NANDA-Iの看護診断では「意図しない尿もれが、強く切迫した尿意と一緒に、あるいはその後に続いて、そしてまた腹腔内圧を上昇させる活動で起こる状態1) 」と定義されている。

尿失禁は症状によって、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合性尿失禁、 溢流性尿失禁、機能性尿失禁の5つに分類される。混合性尿失禁は、咳やくしゃみによる意図しない尿もれ、尿意切迫、夜間頻尿、残尿感など、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁のどちらの症状もみられる。

以下の表は、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁についてまとめたものである。

表 腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁
種類 特徴
原因
治療
腹圧性尿失禁 ・お腹に力が入ったときに尿が漏れてしまう
・骨盤底筋群の緩みや衰え、尿道閉鎖機能の低下などで起こる
妊娠
出産
加齢
肥満
前立腺手術によるもの
など
骨盤底筋体操
中部尿道スリング術(TVT 手術、TOT 手術
など
切迫性尿失禁 ・突然の尿意をもよおし、間に合わずに漏れてしまう
・寒さや刺激などにより、膀胱が過敏になることで起こる
加齢
出産
脳や脊髄への障害
前立腺や膀胱の疾患
その他さまざまな刺激
など
膀胱訓練や骨盤底筋体操
抗コリン薬
β3受容体作動薬
など


混合性尿失禁治療では、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁のどちらで症状が強く出ているのかをアセスメントし、対処することが重要となる。また患者さんは尿失禁に対して強い不安感 があるため、看護師はプライバシーを考慮して尿失禁を起こさないための援助や、デリケートな排泄の問題に対して寄り添った声かけを常に意識しなくてはいけない。

●用語を使用した例文
混合性尿失禁がある認知症患者さんに「もうオムツに出てるし、さっきもトイレに行ったでしょ!」というスタッフの声が聞こえたので、病棟勉強会で看護計画を見直した。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断NANDA-I 看護診断 定義と分類.第12版.医学書院,2021年,p.222

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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