完全房室ブロック
かんぜんぼうしつぶろっく
完全房室ブロック(complete atrioventricular block:CAVB)とは、高度な房室伝導障害により、心房からの刺激伝導が心室に全く伝わらなくなってしまう病態のこと。3度房室ブロックともいう。
洞結節からの刺激は心房で留まり、心室では、自動能を有するペースメーカー細胞によって独自の収縮が起こる。心電図上では、P波とQRS波がそれぞれ独立した別々の間隔で出現する。
心房と心室の収縮が連動していないため徐脈となり、心拍出量や血圧が低下することが多い。心拍数が極度に低下すると心拍出量も著しく低下し、アダムス・ストークス症候群を起こすことがある。アダムス・ストークス症候群や心不全症状がみられる場合には、速やかに体外式一時的ペーシングを開始する。根治治療としてペースメーカーの植え込みが適応となる。
CAVBの主な原因としては、虚血性心疾患、拡張型心筋症、サルコイドーシス、薬剤(I群・III群抗不整脈薬、ジギタリス製剤、Ca遮断薬、β遮断薬)、高カリウム血症などが挙げられる。
監修:林 洋
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