看護用語集

幻聴

げんちょう

幻聴とは、幻覚の一種で、実際には存在しない音が聞こえることである。

幻覚には、実在しないものが見える「幻視」や触れられてないないのに触れられていると感じる「幻触」、実在しない匂いを感じる「幻嗅」、存在しない手足や麻痺している手足に関して痛みなどを感じる「幻肢」などがある。

幻聴は、統合失調症やAlzheimer型認知症、薬物依存、脳疾患、心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder:PTSD)などの疾患において、非常に強いストレスにより生じるとされている。また、疾患以外であっても不安・孤立・過労・不眠などにより生じることもある。どのような場所で、どのような音が、どのように(直接的なものや頭の中から)聞こえてくるのかは個人差がある。統合失調症患者幻聴の内容は、本人への悪口や監視されているようなネガティブな内容であることが多いといわれている。幻聴は対象者のみに生じているため、他者からは察知しにくいが、幻聴に対して対象者が笑う(空笑)、怒る、返答(独語)をするなどの反応を示す様子を観察することが対象者の状態を把握することにつながる。
対処としては、専門家との相談の上抗精神病薬の内服不安・孤立・過労・不眠を減らすことができるような日常生活への工夫、実際の他者の声でないと受け止めるなどの受け止め方の工夫が挙げられる。

参考文献
・原田誠一:正体不明の声ハンドブック.ヤンセンファーマ株式会社.2019.(2023年6月21日閲覧)http://www.ar-pb.com/files/s_handbook_20190308.pdf


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:森山 希(有明医療大学看護学部看護学科 助教)

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