エネルギーフィールドバランス異常

エネルギーフィールドバランス異常とは、その人が本来もつ生命力やエネルギーが何らかの要因でうまく循環せず、心身の調和が崩れて不調が現れる状態を指す。NANDA-Iの看護診断では「通常は途切れない全体で、独特で、力強く、創造的で、非線形の、生命に関わるヒューマン・エネルギー・フローが途絶した状態^1）」と定義されている。

例えば、心理的・身体的ストレス、喪失体験、環境変化、慢性疾患などにより、感情の不安定、集中力低下、倦怠感、睡眠障害などを引き起こすことがある。さらに、対人関係の不調、慢性疼痛、治療に伴う不安、経済的・社会的問題、家族の支援不足、孤立感、コミュニケーション困難などもエネルギーバランスの乱れを促す要因となる。

このような状態は日常生活に影響し、治療への意欲やセルフケア能力の低下に繋がる恐れがある。患者さんの価値観やスピリチュアリティが影響する場合もあるため、個別性の高いアセスメントが求められる。

看護の視点として、まず患者さんの感情・思考・行動パターンを丁寧に評価する。具体的には、睡眠、食欲、活動量の変化、表情や言動を観察し、不安や抑うつの程度を把握する。そのうえで、安全を確保しながら傾聴と受容的態度で安心感を与え、リラクゼーションの導入や環境調整、生活リズムの再構築、原因疾患への治療・ケアを行う。また、必要に応じて多職種と連携し、心理的支援や家族支援も提供する。

●用語を使用した例文
エネルギーフィールドバランス異常と判断して、環境調整と傾聴を中心に看護を行う。

●引用文献
1）T.ヘザーハードマン，編：NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版．医学書院，2021，p.268.

監修：林 洋（東京有明医療大学 学長）
執筆：山﨑博貴