看護用語集

体液量不足リスク状態

たいえきりょうふそくりすくじょうたい

体液量不足リスク状態とは、体液量が不足する可能性が高く、健康への影響が懸念される状態である。NANDA-Iの看護診断では「血管内液・組織間液・細胞内液のすべて、またはいずれかが減少しやすく、健康を損なうおそれのある状態1) 」と定義されている。まだ明確な脱水症状が出ていない場合に適用される看護診断で、すでに脱水を起こし健康状態に影響を及ぼしている場合に「体液量不足」の看護診断が適用される。

体液量不足リスク状態は、水分の摂取不足や過剰な喪失、体液の移動、ホルモンや代謝異常のほか、医原性要因や気温・湿度などの環境要因も関与して引き起こされる。

特に、喉の渇きを感じにくい高齢者や乾いていることを訴えられない乳幼児、摂食・嚥下障害がある場合などは水分補給が十分にできず、体液量不足のリスクが一層高まる。また、発熱や発汗、嘔吐・下痢、多尿、出血などによる急激な水分の喪失、低アルブミン血症や熱傷による体液の移動、糖尿病や副腎不全などのホルモン異常、利尿薬の使用や透析治療もリスクを増大させる。

看護師患者さんの疾患や治療、水分出納などの状態を総合的にアセスメントし、適切な看護計画の立案と、体液不足を予防するための早期対応が必要である。

●用語を使用した例文
夏の入浴は室温や湿度が上昇するため、熱中症や体液量不足リスク状態になりやすい。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類.第12版 医学書院,2021,p.215

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

同音異義語・略語
体液量不足リスク状態の同音異義語・略語は未登録です
「体液量不足リスク状態」に関する看護記事
該当する記事がありません
新着の看護記事
  • 人気の看護記事