看護用語集

セルフネグレクト

せるふねぐれくと

セルフネグレクトとは、健康、生命および社会生活の維持に必要な、個人衛生、 住環境の衛生もしくは整備又は健康行動を放任・放棄していること1)である。

セルフネグレクトの特徴として、人並みな身繕いをしない、汚れた服のままで生活するなどの個人衛生の悪化、ゴミを捨てずため込むなどの不衛生な住環境、治療や服薬を拒否するなどの健康行動の不足、近隣住民との関わりを拒否する、家に引きこもるなどのような社会的孤立が挙げられる。

セルフネグレクトのリスク要因の1つに精神・心理的な問題があり、具体的には認知症統合失調症妄想性障害、アルコールなどの依存症、不安障害や恐怖症、 強迫性障害、パーソナリティ障害、感覚障害などが原因と考えられる。

また、ライフ・イベントで配偶者や親しい家族の死や病気、リストラなど、大きなショックを受ける出来事もセルフネグレクトの要因になり得る。そのほか、自尊心にかかわる出来事、「人の世話になりたくない」などの遠慮がちな性格、人間関係のトラブル、経済的問題もセルフネグレクトにつながる可能性がある。

selfneglect 平成 22 年度内閣府経済社会総合研究所委託事業 セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査―幸福度の視点から 報告書 より引用

内閣府が行った高齢者におけるセルフネグレクトの調査2)によると、セルフネグレクト状態にあると考えられる高齢者の推計値は全国で9,381~12,190人としているが、これは2012年の高齢者のみを対象としたときの推計値になるため、現在はもっと増加していると推測できる。

セルフネグレクトの特徴がみられた場合、看護師としてまずは本人の考えを聞いて受け止める。認知症などの精神疾患がある場合は病院に行くように勧め、状況に合わせて介護サービスなどの医療サービスの利用や地域包括支援センターからの支援を受けるように働きかける。

また、自宅の環境の悪化が著しい場合は、家事代行サービスや不用品回収業者を手配するなど、住環境の整備を含めた支援が必要になることもある。

●用語を使用した例文
周囲や行政がサポートしようとしても、セルフネグレクトを発症した本人がそれを拒否すれば介入ができない。

●引用・参考文献

1)野村祥平:高齢者のセルフ・ネグレクトの理論的概念についての研究.ルーテル学院研究紀要 2017;51:107-34
2)内閣府経済社会総合研究所:セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査―幸福 度の視点から 報告書.(2024年10月3日)https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11539153/www.esri.go.jp/jp/prj/hou/hou060/hou060.html
・岸恵美子:セルフ・ネグレクトの予防と支援の手引き.(2024年10月3日)https://www.lab.toho-u.ac.jp/nurs/community_nurs/staff/tjoimi0000001s65-att/tjoimi0000001xz4.pdf

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:古田さん

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