看護用語集

親役割葛藤

おややくわりかっとう

親役割葛藤とは、対処困難な出来事に直面した親が、家庭内での役割の果たし方に迷いや悩みを抱えている状態を指す。NANDA-Iの看護診断では「親が経験する、危機に反応した役割の混乱と葛藤状態1)」と定義されている。

子どもの疾患や入院、特別なケア・支援が必要な状況では、家庭内の役割負担が増大しやすい。また、離婚や別居といった家庭環境の変化、家族間の人間関係の不和、親自身の健康状態や入院により、不安恐怖感、フラストレーション、罪悪感、自信喪失などを抱えることがある。その結果、子どものケアにかかわる意欲が低下する場合もある。

親の迷いや悩みは家庭内にとどまらず、治療への参加姿勢や医療者との協力関係にも影響し、小児患者さんのケア全体に波及する。さらに、小児患者さんが必要とする支援に十分応えられない可能性がある。

そのため、看護師小児患者さんだけでなく、親の心理的背景も理解し、適切な支援を行うことが重要である。支援の実践としては、親の思いや感情を丁寧に傾聴し、安心して気持ちを言葉にできる場を提供することが大切である。さらに、家族全体の生活状況を把握し、必要に応じて社会資源や支援制度と繋ぐことも看護師の役割となる。

●用語を使用した例文
親役割葛藤を抱える母親に対して、看護計画では「安心して感情を表出できる場を提供すること」を優先した。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.367.

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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