看護用語集

移転ストレスシンドローム

いてんすとれすしんどろーむ

移転ストレスシンドロームとは、入院や転院、引っ越しなどによる環境変化が原因で、心身が不安定になり、環境への適応が困難になる状態である。NANDA-Iの看護診断では「ある環境から別の環境に移動した後に起こる、生理的および心理社会的な混乱状態1)」と定義されており、精神面や身体面にさまざまな反応がみられる患者さんの看護診断に用いられる。

このような状態では、怒り、不安恐怖抑うつなどの感情面の変化に加え、身体症状の増悪や睡眠の乱れ、自尊感情の低下、孤立感、主体性の喪失など、幅広い反応が観察される。

その背景には、環境の調整不足、移動前の心の準備や相談の不足、コミュニケーションの障壁などがあり、これらが複合的に影響することで環境変化への適応困難が生じやすくなる。

移転ストレスシンドロームは、患者さんの入院生活や療養行動に悪影響を及ぼすことがあるため、予防や早期発見・介入が重要である。看護師は、環境変化が患者さんの心身に与える負担を的確にアセスメントし、必要に応じて心理的支援や環境調整を行うことで、少しずつ新しい生活環境への適応を促すような支援が求められる。

●用語を使用した例文
転院後の患者さんが不安不眠を訴えたため、移転ストレスシンドロームと判断し、看護計画を立案した。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.390.

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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