看護用語集

慢性混乱

まんせいこんらん

慢性混乱とは、長期にわたり認知機能が低下し、思考や注意力などに障害が生じる状態のことである。NANDA-Iの看護診断では「3か月以上持続する、意識・注意・認知・知覚の不可逆性障害・進行性・先行性の障害1)」と定義されている。注意力の低下、思考の混乱、見当識障害、記憶障害などがみられ、急性混乱と異なり、長期的に持続し進行する場合もある。

患者さんは徐々に、周囲の状況を適切に理解することや論理的に判断することが難しくなる。また、見当識障害や言語の障害によって、時間、場所、人に対する認識が低下すると、他者とのコミュニケーションも困難になる。これにより、日常生活に支障をきたすことがある。

慢性混乱は、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病のような神経疾患、脳梗塞脳出血などの脳血管疾患、肝不全や腎不全などの慢性疾患による代謝異常、薬剤による影響などが要因となる。

看護師は、慢性混乱のある患者さんのQOLを維持するため、進行や悪化に繋がらないようなケアを行うことが求められる。個別性のあるケアが重要であるため、まずは患者さんの状態を把握する。そのうえで、理解しやすい言葉でゆっくりと話す、簡潔な質問をする、指示は一度に一つずつ伝える、などを心がける。また、時計やカレンダーを見やすい場所に置く、夜間の照明を調整するなど、生活環境を整えるための工夫を実践する。

●用語を使用した例文
慢性混乱患者さんに対して認知機能に合わせたケアを行う。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類.第12版.医学書院,2021,p.309

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
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