看護用語集

急性混乱

きゅうせいこんらん

急性混乱とは、短期間で起こる一過性の意識の変容のことである。NANDA-Iの看護診断では「短期間に発症し、持続が3か月未満の意識・注意・認知・知覚の可逆性障害1)」と定義されており、せん妄の場合に用いられることが多い。注意力や集中力の低下、思考の混乱、見当識障害、記憶障害、睡眠パターンの乱れなどがみられ、日内変動を伴うことが特徴である。

要因には生活環境の変化、睡眠覚醒サイクルの変化、疼痛、脱水感染症、代謝異常、薬剤手術の影響などが挙げられる。入院するとこれらが生じる可能性があるため、入院を要する疾患はすべて急性混乱を引き起こすリスクがある。特に高齢の患者さんは、上記の要因に対して脆弱性があり、発症しやすい。

急性混乱は適切な介入により改善が見込める状態であるため、看護師患者さんの全体像を把握したうえで、個別性に応じたケアを実践することが重要である。

まずは患者さんの意識レベル、注意力、見当識、睡眠パターンなどを適宜評価して、認知機能や日常生活様式を把握し、急性混乱の早期発見に努める。そのうえで、患者さんに合った入院環境を整えるために、カレンダーや時計の設置、騒音の軽減、家族や親しい人々の写真の配置などを検討する。そして、治療が適切に進むように医師の指示に基づく診療の補助を実践する。

●用語を使用した例文
急性混乱はどんな患者さんでも発症する可能性があるため、個別性のあるケアを実践する。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類.第12版 医学書院,2021,p.307

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:p

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