看護用語集

急性疼痛

きゅうせいとうつう

急性疼痛とは、組織への刺激や損傷に対する生体反応で、侵害受容器の刺激によって引き起こされる一過性の痛みを指す。NANDA-Iでは疼痛の継続は3か月未満1)とされ、細胞や組織が回復するにつれて軽減していくことが予測される。

痛みの症状は突然あるいは急速に現れる場合と、刺激や損傷後から少し遅れて現れる場合があり、刺激や損傷の部位は局所的であることが多い。急性疼痛に伴い、心拍数や血圧の上昇、発汗瞳孔散大などの交感神経が有意な症状がみられる。

原因の例として、手術による創部、骨折による組織の損傷、感染に伴う炎症などがあり、それぞれの痛みは侵害受容器を通じて脊髄や視床、大脳と異なる部位に伝達される。そのため鎮痛薬も、アセトアミノフェン、NSAIDs、非オピオイド、オピオイド、とそれぞれ作用部位が異なるものを使い分けるなど、各々に応じた治療ケアが必要である。

看護診断およびケアでは、疼痛のアセスメントスケールを用いて客観的な指標で継続的に観察することが求められる。痛みは患者さんの主観的な情報であり、痛みの強さや、鋭いか鈍くて重いか、締め付けられる感じかなどの痛みの種類は、患者さんにしかわからない。そのため、VAS(Visual Analogue Scale、ビジュアルアナログスケール)やNRS(Numerical Rating Scale、ヌーメリカル・レイティング・スケール)などの評価スケールを用いて疼痛を定量的に評価し、患者さんが表現する痛みの質を継続的に観察する必要がある。

鎮痛薬を使用している場合は、使用前後の状態を観察して効果判定を行い、薬剤副作用が生じていないか観察し、薬剤の量や種類などを主治医に相談しながら適切な疼痛コントロールに努める。疼痛が持続している場合はQOLに影響を与える可能性があるため、必要に応じて精神的な介入も検討する。



●用語を使用した例文
手術による急性疼痛をNRSを用いて継続的に評価する。

●引用・参考文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断NANDA-I 看護診断 定義と分類.第12版.医学書院,2021年,p.560
・成田 年,他:疼痛行動の評価法. 日薬理誌 2007;130:p.124-7.
厚生労働省:参考資料3-3 ビジュアルアナログスケール ビジュアルアナログスケール(VAS:Visual Analogue Scale Visual Analogue Scale Visual Analogue Scale).(2024年12月18日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-sankou3-3.pdf

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:p

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