看護用語集

排尿障害

はいにょうしょうがい

排尿障害とは、膀胱に尿に溜めることから溜まった尿を排出するまでの過程のなかで異常が生じている状態のことである 。

排尿障害には大きく畜尿障害と排出障害に分けられる。畜尿障害は、尿を溜めることに問題がある状態で頻尿、夜間排尿(夜間頻尿)、尿意切迫感、尿失禁などの症状があり、通常はこれらの症状が複合してみられる。排出障害には排尿時に起こる症状として排尿困難、尿勢の低下、腹圧排尿、尿線途絶、尿閉など、排尿後に起こる症状として残尿感、排尿後滴下がある。

排尿障害は、膀胱排尿筋の収縮異常や、膀胱出口への妨害や反対に抵抗が弱まることで起こり、原因として過活動膀胱、出産や加齢による骨盤底筋群の筋力低下、肥満、男性の場合は前立腺肥大症や前立腺がんなどがある。

排尿障害治療には保存的療法、薬物療法、手術療法などがある。保存的療法には食生活の見直し、適度な運動を取り入れるなどの生活習慣の改善や、骨盤底筋訓練、膀胱訓練などの行動療法が含まれ、日常生活で取り入れやすい治療法である。薬物療法では尿道の抵抗を抑える目的でα1遮断薬やPDE5阻害薬など、膀胱の異常収縮の抑制や弛緩促進には抗コリン薬、β₃作動薬などが用いられる1)。 

手術療法は原因疾患に対する根本治療症状の緩和のために選択されることがある。高度の排尿障害があり腎機能障害が起きる場合は、自己導尿や膀胱カテーテル留置を行う場合もある。

看護師は排尿の状態と障害に関する看護診断を行い、排尿障害の原因を突き止め、排尿管理・セルフケア援助・尿失禁ケア・骨盤底筋運動などの看護介入を選択する。

●用語を使用した例文
直腸内に便が残り続けると、尿失禁や排尿困難などの排尿障害の原因となるため、生活習慣を見直し、便秘解消のためのコントロールを行う。

●引用・参考文献
1)後藤百万; 下部尿路症状の原因疾患に対する治療戦略!治療薬の選び方と使い方 前立腺肥大症.薬局、2021;72(7):p2615-9.
・日本泌尿器科学会:尿が出にくい・尿の勢いが弱い・尿をするのに時間がかかる.(2024年11月22日閲覧)https://www.urol.or.jp/public/symptom/05.html
・公益財団法人長寿科学振興財団:https://www.tyojyu.or.jp/net/index.html

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:古田聡美

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