溢水とは、体内の水分が過剰となり、体液のバランスが取れなくなった状態を指す。
健常者では、過剰な水分は腎臓から尿として体外に排泄されるため、溢水は生じない。一方、例えば、体内の水分を調節する腎機能が低下・廃絶している透析患者においては、体内に水分が貯留し溢水状態となる可能性がある。体内に溢れた過剰な水分が血管内に分布すれば、血圧上昇や心不全などをきたし、血管外に移動し血管と細胞の間の間質に分布すれば、浮腫や肺水腫などを引き起こす。
また、身体が溢水状態になると、大静脈および肺静脈の圧が正常よりも上昇し、心胸郭比(CTR)も増大する。
監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:川上嘉明(有明医療大学看護学部看護学科 教授)