ムーア(Moore)の分類とは、術後侵襲からの回復過程を4相に分類したものである。手術などの侵襲に対する生体反応として、内分泌系、自律神経系、代謝系などが変動し、さまざまな臨床所見がみられる。
4相の分類とそれぞれの特徴については下表の通りである。
表 ムーアの分類とそれぞれの特徴
| 分類 | 時期 | 症状・反応 | 持続時間 |
異化期 (体蛋白の崩壊、脂肪の分解)
| 第1相
| 傷害期
| 発熱、頻脈、血圧上昇、乏尿、高血糖・耐糖能低下、蛋白異化亢進
| 術後2~4日
|
第2相
| 変換期
| 解熱、血糖安定、尿量増加(利尿期・リフィリング)、尿中窒素排泄の減少
| 1~3日
|
同化期 (体組織の修復)
| 第3相
| 筋力回復期
| 食欲回復、蛋白合成により骨格筋増加、退院が可能に
| 数週間~数ヵ月
|
第4相
| 脂肪蓄積期
| ホルモン変動が消失、脂肪増加により体重増加
| ー |
ムーアの分類は、周術期看護において
患者回復の
アセスメントに必要であり、看護
ケアの実践の
エビデンスとなる。退院準備や退院後の時期に当たる第3相・第4相は回復過程の途中であり、そのことを念頭に置いた
退院指導や
外来フォローが必要になる。
監修:
林 洋