看護用語集

アルコール依存症

あるこーるいぞんしょう

アルコール依存症とは、常習的にアルコールを飲み依存してしまった状態を言う。
依存の形成は、脳の快感や覚醒を生じる神経系である側坐核というところが関与していると言われている。快感はアルコールだけでなく、薬物やショッピング、ジョギングなどでも機序は同じである。
アルコール依存症だけでなく、「アルコール依存症予備軍」に属する者の、飲酒運転などが深刻になっている。

原因
飲酒をしやすい環境にあったり、帰宅恐怖症候群といって何かしらの理由で家に帰りたくなく、居酒屋などに立ち寄ってしまう場合もある。

症状
大量の飲酒中は、幻聴や幻視が現れることが多い。幻覚により被害妄想を訴えることも少なくない。
身体症状では、肝障害、慢性膵炎、糖尿病、ウェルニッケ脳症などが見られる。

診断
新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST)による問診や、身体症状から診断される。

検査値
肝機能異常や栄養が見られることが多い。
肝機能障害
肝性脳症や肝硬変が見られる。末期には食道静瘤などに至る場合もある。

ウェルニッケ脳症
ビタミンB1の欠乏によって起こる。
意識障害、眼球運動障害、運動失調などが見られる。

コルサコフ症候群
記銘力障害や見当識障害、作話などが出現する。

予後
断酒ができれば予後は比較的良好。
断酒の強い意志がないと、退院後も飲酒を繰り返してしまう人が多く、医療機関そのものから離れてしまうことが多いため、正確な予後は不明である。

検査
1.血液検査
肝機能や栄養状態を調べる
2.問診
アルコールの摂取状況や新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST)を調べる

治療
断酒が原則。急性期には離脱症状への対処が必要になる。
1.薬物療法
急性期の精神症状には、抗精神病薬が投与される。
不安の強い場合には抗不安薬、寝酒などから依存に至った場合は睡眠薬など、患者さんに合ったものが選択される。
2.認知行動療法
対人関係が苦手だったり、怒りをうまく表現できない気持ちが飲酒に向かっていた人には、自己主張訓練や怒りの処理訓練を行う。人によっては、緊張緩和訓練や肯定的に物事を考える訓練なども行われる。
3.自助グループの紹介
症状が落ち着いたら、断酒会やアルコール依存症の会を紹介する必要がある。
グループによる活動を通して、再発を避けるアドバイスをもらえたり相談に乗ってもらうことができる。
同音異義語・略語
アルコール依存症の同音異義語・略語は未登録です
「アルコール依存症」に関する看護記事
該当する記事がありません
新着の看護記事
  • 人気の看護記事