大動脈内バルーンパンピング
だいどうみゃくないばるーんぱんぴんぐ
大動脈内バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping:IABP)とは、心臓のポンプ機能を一時的に補助するための医療装置のこと。大腿動脈を介してバルーンカテーテルを下行大動脈に挿入し、バルーンをリズミカルに拡張・収縮させることで冠動脈への血流の増加を促し、心臓への酸素供給を向上させる。
機械的合併症による心原性ショックを認める患者、治療抵抗性の心原性ショックを認める患者、再灌流療法後にも心筋虚血が遷延する患者で使用が考慮されるが、心原性ショックに対してルーチンに用いることは推奨されない1)。
IABPを使用する患者の看護では、バイタルサイン(循環動態)や刺入部の観察のほかに、同一体位による苦痛の軽減と褥瘡予防に努めることが大切である。また、合併症として、下肢虚血、動脈損傷、血行障害、感染、バルーン破裂(損傷)、出血、貧血、抗凝固などが生じることがあり、異常がみられた場合は速やかに医師へ報告することが求められる。
■引用・参考文献
1)日本循環器学会,他:急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版),2022,57-8.(2023年8月24日閲覧)
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2018/11/JCS2018_kimura.pdf
●松宮護郎:重症心不全に対する経皮的デバイス(IABP、ECMO、Impella).日本心臓血管外科学会(2023年8月24日閲覧)
https://jscvs.or.jp/surgery/5_4_syujutu_sinzou_jusyosinhuzen/
●石原正治:IABPによる循環補助の有用性と限界.心臓 2020; 52 (5):468-72.
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