看護用語集

JCS

じぇいしーえす

JCS(Japan Coma Scale、ジャパン・コーマ・スケール)とは、患者さんの意識レベル評価するためのスケールである。世界的に広く使われているGCS(Glasgow Coma Scale、グラスゴー・コーマ・スケール)に対し、JCSは日本でよく使われているスケールで、GCSよりも簡便で迅速に意識状態を評価することができるのが特徴である。

JCS意識レベルを3段階(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)に分けて、それぞれがさらに細かく3段階で評価されていく。数値が高いほど意識レベルが悪いことを表している。

表1 JCS(ジャパン・コーマ・スケール
Ⅰ.覚醒している状態(1桁の点数で表現)
Ⅰ-0 意識清明
Ⅰ-1 見当識はあるが意識清明ではない
Ⅰ-2 見当識障害がある
Ⅰ-3 自分の名前、生年月日がいえない
Ⅱ.刺激すると一時的に覚醒する状態(2桁の点数で表現)
Ⅱ-10 普通の呼びかけで開眼する
Ⅱ-20 大声での呼びかけや強く揺さぶることで開眼する
Ⅱ-30 痛みや刺激を加えた呼びかけを続けることで開眼する
Ⅲ.刺激しても覚醒しない状態(3桁の点数で表現)
Ⅲ-100 痛みに対して払いのけるなどの動作をする
Ⅲ-200 痛みや刺激に対して四肢を動かす、顔をしかめる
Ⅲ-300 痛みや刺激に対してまったく反応しない

Ⅰは「覚醒している状態」のうち、意識清明である状態をⅠ-0とし、自分の名前や生年月日がいえない場合はⅠ-3となる。Ⅱは「刺激すると一時的に覚醒する状態」のうち、普通の呼びかけで開眼する程度であればⅡ-10、痛みや刺激を加えて呼びかけを続けるとかろうじて開眼する程度の場合はⅡ-30で表す。Ⅲは「刺激しても覚醒しない状態」を示し、痛みに反応して払いのける、わずかに動く程度の場合はⅢ-100、痛みや刺激を加えてもまったく反応しない状態はⅢ-300と評価される。

JCSを用いることで意識状態を客観的に評価でき、継続的な観察記録に活かせる。また、簡便で迅速に意識レベル評価することができるため、救急外来で救命士との情報共有や、院内急変時の医師へ意識状態を報告する際、他職種との共通言語の1つとして活用することができる。

JCSは意識状態を客観的に評価するものであるが、鎮静薬を使用している患者さんの場合は薬の作用で指示が入らないことがある。その場合はJCSだけでなくRASS(Richmond Agitation- Sedation Scale)を用いて評価する。

●用語を使用した例文
呼びかけに反応しない患者さんに対してJCS意識レベル評価した。

●用語に関連する国試過去問

ジャパン・コーマ・スケールJCS〉のⅢ(3桁)で表現される意識レベルはどれか。
 1. 意識清明の状態
 2. 刺激すると覚醒する状態
 3. 刺激しても覚醒しない状態
 4. 刺激しなくても覚醒している状態
  第108回看護師国家試験(2019年)
 
解答

3



監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:p

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