看護用語集

GCS

じーしーえす

GCS (Glasgow Coma Scale、グラスゴー・コーマ・スケール)とは、意識レベル評価するために世界的に広く用いられるスケールである。開眼機能【E】(eye opening)、最良言語反応【V】(best verbal response)、最良運動反応【M】(best motor response)の3つの項目から構成され、それぞれの状態に対して点数がつけられて評価される。

最低点は各項目1点の計3点、最大点はE-4点、V-5点、M-6点の計15点である。数値が低いほど意識レベルが悪いことを表している。

表1 GCS(グラスゴー・コーマ・スケール
開眼機能【E】(eye opening)
E-4点 自発的に開眼する
E-3点 強く呼びかけると開眼する
E-2点 痛みや刺激で開眼する
E-1点 開眼しない
最良言語反応【V】(best verbal response)
V-5点 見当識がある
V-4点 V-4点 会話は成立するが見当識がない
V-3点 単語を発するが会話は成立しない
V-2点 意味のない発声のみ
V-1点 発声しない
最良運動反応【M】(best motor response)
M-6点 命令に従って四肢を動かせる
M-5点 痛みや刺激の部位を認識する
M-4点 痛みや刺激に対して四肢を引っ込める
M-3点 痛みや刺激に対して屈曲運動する
M-2点 痛みや刺激に対して伸展運動する
M-1点 痛みや刺激に対して反応しない

開眼機能は、自発的に開眼する状態を4点とし、まったく開眼しない場合は1点となる。最良言語機能は、自分の名前や今いる場所、現在の時間に正答できる状態を5点とし、まったく応答がない場合は1点となる。最良運動反応は、医療者の指示に従うことができる状態を6点とし、刺激に対してまったく反応がない場合は1点となる。最良言語機能と運動反応は、数回検査したうえで最良の反応を評価する。

看護師GCSを用いることで、意識状態という観察者の主観が含まれてしまう患者さんの情報を客観的に評価できるため、継続的な観察記録に活かすことができる。また、指標があることで医師や他職種とも意識状態に関して共有しやすくなるため、治療や予後予測などに活用される。

GCSは意識状態を客観的に評価するが、混同しやすい場面も存在する。例えば鎮静薬を使用している患者さんは薬の効果で指示が入らない場合があり、その際はGCSだけでなくRASS(Richmond Agitation- Sedation Scale)を用いて評価する。

●用語を使用した例文
意識障害患者さんにGCSを用いて評価し、継続的に観察していく。

●用語に関連する国試過去問

Aさん(53歳、女性)は休日に公園を散歩中、階段から落ちて頭部を強打し、意識を消失した状態で病院救急搬送された。病院到着時のAさんは開眼せず、声は発しているが理解不能である。痛み刺激には逃れようとする動作がみられる。
グラスゴー・コーマ・スケールGCS〉によるAさんの意識レベル評価はどれか。
 1. E1 V1 M2
 2. E1 V2 M4
 3. E2 V2 M2
 4. E4 V5 M5
  第112回看護師国家試験(2023年)
 
解答

2



監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:p

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