看護用語集

緊張性気胸

きんちょうせいききょう

緊張性気胸とは、気胸の一種であり、肺胞内に漏れ出た空気により胸腔内圧が高まり肺や心血管を圧迫する状態をいう。

通常の気胸同様の状態から、さらなる呼吸困難、血圧低下や閉塞性ショックのように急激な状態の変化を招くため、適切かつ迅速な診断・対処を要する。また、患側の打診による鼓音の聴取、呼吸状態の悪化に加えて気管偏位、静還流の圧迫・心臓の拡張障害による頸静怒張、皮下気腫による握雪感(雪を握ったときに感じるようなギシギシという音)などの症状を認める。
気胸には原発性自然気胸・特発性自然気胸・外傷性気胸などさまざまな種類があるが、原因や程度を問わず緊張性気胸となることがある。さらには、肺組織の炎症などにより脆弱となった肺胞が陽圧換気によって破裂することによって緊張性気胸を生じるため、陽圧換気を実施している場合にも注意が必要である。
緊張性気胸となった場合には、胸腔に溜まった空気を逃し、胸腔内圧を低下させる(脱気)必要があるため、処置としては速やかに胸腔ドレナージを行う必要がある。

参考文献
・日本救急医学会:医学用語集.https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0220.html(2022年11月24日閲覧)
・日本離床学会:離床Q&A.https://www.rishou.org/for-memberships/qa/qa-vol-36#/(2022年11月24日閲覧)
・日本呼吸器学会:呼吸器の病気.https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/g/g-04.html(2022年11月24日閲覧)


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:森山 希(有明医療大学看護学部看護学科 助教)

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