看護用語集

イレウス

いれうす

イレウスとは、何らかの原因によって腸管内容物が正常に通過しない状態のことをいう。

日本ではイレウスと腸閉塞は同じものと捉えられており、炎症や虚血、電解質、薬剤、開腹手術などの影響により腸管の動きが障害された状態を機能的イレウス、腸捻転や腸重積、腸管癒着、腫瘍によって腸管内腔が物理的に閉塞された状態を機械的イレウスとされている。ただし近年では、物理的な閉塞がなく何らかの要因で腸管に麻痺やけいれんが起こり、動きが障害された状態をイレウスと呼び、物理的な閉塞があるものは腸閉塞と定義されるようになっている。

腸管の動きが障害され腸管内容物が貯留しているため、腹痛悪心、嘔吐、腹部膨満感、排便・排ガスの停止などの症状がみられる。立位腹部単純X線撮影では鏡面像(ニボー:air fluid level)という所見がみられることがある。

機能的イレウス治療は腸管に物理的な閉塞が見られないため、腸管の動きが障害される原因に対する治療や現在の症状に対する対症療法が行われる。機械的イレウス治療は、腸管の物理的な閉塞具合によって保存療法、もしくは手術療法が選択される。ただし、腸管の血流障害が見られている場合や、腸管の穿孔や壊死が生じている場合は緊急で手術が必要になる。

看護師として腹部症状電解質異常の有無などに注意して観察し、早期発見に努める。

●用語を使用した例文
イレウスによる腸管の血流障害を早期発見するため、腹部症状に注意する。

●用語に関連する国試過去問

腸閉塞について正しいのはどれか。
 1. 仰臥位の腹部エックス線写真で鏡面像を認める。
 2. 経口による水分摂取は少量にする。
 3. イレウス管を小腸に留置する。
 4. 抗菌薬の投与は禁忌である。
 第110回看護師国家試験(2021年)
 
解答

3


●参考文献
腹部救急医学会.急性腹症ガイドライン2015.(2024年7月13日閲覧). https://plaza.umin.ac.jp/jaem/?p=link20151120001

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
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