看護用語集

家族コーピング機能低下

かぞくこーぴんぐきのうていか

家族コーピング機能低下とは、患者さんが疾患や障害を抱えた生活に適応していく過程で、一番の理解者である家族などの身近な人から十分な支援が得られなかったり、提供される支援が患者さんのニーズや現状に適合していなかったりする状態を指す。

NANDA-Iの看護診断では「患者が健康課題に関連する適応課題を管理・習得するうえで必要な、普段は支援的なプライマリーパーソン(家族メンバー、大切な人、親しい友人)からの、サポート・慰め・援助・励ましが、足りない、役に立たない、低下した状態1)」と定義されている。

主な要因には、患者さんや家族の健康課題への知識不足、患者さんと家族の間での認識や目標のズレ、介護負担、経済的問題、家族自身の健康問題などが挙げられる。また、家族関係の希薄化に加え、家族が遠方に居住している、仕事や育児で忙しいなど、物理的に支援することが困難な状況もコーピング機能が低下する要因となる。

患者さんの支援に対する受け止め方にも大きく左右されるが、家族からの支援が十分に機能しない場合、患者さんは孤立感や不安を抱きやすく、治療やセルフケアへの意欲が低下することがある。また、家族にとっても精神的・身体的な負担が大きくなるため、支援の質の低下や量の減少が生じる可能性がある。

看護師は、患者さんの不安や訴えだけでなく、家族のかかわり方や支援状況、面会頻度、コミュニケーションの程度を把握し、支援体制全体を評価する視点が求められる。患者さんや家族が抱える負担や戸惑いを言語化できるようかかわり、必要に応じて健康課題・適応課題の再説明を行う必要がある。さらに多職種と連携して、個別性に合った家族支援や社会資源の活用を提案するなど、支援体制を整えることが重要である。

●用語を使用した例文
家族コーピング機能低下がみられる患者さんに対し、家族のかかわり方と心理的負担を評価項目に含めた看護計画を立案した。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.403.

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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