看護用語集

腸肝循環

ちょうかんじゅんかん

腸肝循環とは、肝臓で代謝された物質が胆汁として分泌され、主に小腸で再吸収されたあと、門を通って再び肝臓に戻る循環経路のことである。胆汁酸、胆汁色素(ビリルビン)、一部の薬物、ビタミンなどがこの経路を循環することで、体内の物質を効率よく再利用できる。

一方、この仕組みによって、物質が体内で過剰に蓄積することもある。例えば、赤血球の分解で生成されたビリルビンは、肝臓でグルクロン酸抱合を受けて胆汁として腸に分泌され、腸内細菌の働きで変化した一部が再吸収されて肝臓へ戻ることで体内を循環する。このため、ビリルビンの代謝異常が生じると、黄疸が長引きやすくなる。

薬物も同様に、血中濃度が高くなったり、作用時間が延長したりすることがある。モルヒネやジゴキシンは腸肝循環を受ける代表的な薬物であり、腎臓や肝臓の機能が低下していると体内での濃度が高くなり、副作用が現れやすくなるため、投与時には腎機能や肝機能の状態を確認することが大切である。

●用語を使用した例文
黄疸が持続している状況から、ビリルビン腸肝循環の影響が考えられるため、便の色調や肝機能の推移を観察する。

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
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