看護用語集

分娩陣痛

ぶんべんじんつう

分娩陣痛とは、分娩の過程で起こる子宮の収縮によって生じる痛みや心理的な変化のことであり、一般的には「陣痛」と表現される。NANDA-Iの看護診断では「分娩と出産に伴い、心地よいものから不快なものまでさまざまな感覚的また情緒的な経験をしている状態1) 」と定義されている。分娩の進行に伴い、身体的な痛みの強さや頻度、不快感、心理状態が変化する。

分娩陣痛により、血圧呼吸数・心拍数・排尿機能・神経内分泌機能の変化や、悪心発汗、嘔吐などの症状がみられたり 、食欲や行動の変化、不安や焦りの増強が起こることもある。産婦の身体的・精神的な状態や陣痛の長さによっても異なる。

看護者は母体の身体的・心理的変化を理解したうえで、陣痛の進行を定期的に観察し、母体の心身をケアする。また、母子の安全確認や出産準備、家族ケアの支援などを行い、適切な支援を提供することが求められる。

●用語を使用した例文
分娩陣痛による不安で泣いているお母さんに声をかけ続けた。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類.第12版 医学書院,2021,p.564

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴