看護用語集

喀痰

かくたん

喀痰とは、肺・気管支から出て、口から喀出される分泌物や異物のこと。痰と同じ意味。

生理的な気道分泌物は、気道壁から再吸収されたり、呼吸で蒸発したりするとともに、無意識のうちに嚥下されるため、通常は喀痰が生じることはほとんどない。そのため、喀痰を認める場合は何らかの異常が生じていることが示唆される。

喀痰はその色調や性状から、粘液性、漿液性、膿性に大きく分類される。粘液性痰は白色で粘度が高く、気管支炎、気管支喘息慢性閉塞性肺疾患(COPD)などでみられることが多い。肺うっ血、急性呼吸窮迫症候群、細気管支炎では、無色透明で粘度が低く、サラサラとした性状をもつ漿液性痰を認める。膿性痰は黄色や緑色で粘度が高いのが特徴である。膿性痰がみられる場合は細菌感染の可能性が考えられるため、抗菌薬の投与が検討される。

■参考文献
●原悠,他:咳嗽・喀痰の診かたと薬物療法.日本内科学会雑誌 2021;110(6):1063-70.
●和田攻,他編:看護大事典 第1版.医学書院.2003.p.411.
医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.4 呼吸器 第3版.メディックメディア.p37.


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:田仲珠恵(有明医療大学看護学部看護学科 教授)

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