足背動脈とは、下腿の前面を下行する前脛骨動脈が足関節の下伸筋支帯を抜けて、足背を走る部分の動脈である。足背のもっとも高い部分を走る長拇趾伸筋腱の外側で脈拍を触知できる。ただし、足背動脈は正常でも触れにくいことがあり、その場合は、内果とアキレス腱の間に触れる後脛骨動脈を使うことがある。
足背動脈触知は、動脈硬化が原因で下肢動脈に閉塞がある場合の足部への血流の評価、心臓カテーテル検査の際に、血栓によって血流が遮断されていないかの確認などの目的で行う。深部静脈血栓症の観察のためとされることもあるが、足背動脈の触知で深部静脈の血流を評価することはできない。
監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)