看護用語集

トランスファーボード(スライディングボード)

とらんすふぁーぼーど(すらいでぃんぐぼーど)

トランスファーボードとは、ベッドと車椅子などの間に橋渡しをするように設置し、座ったまま滑らせることで移乗を補助する板状の福祉用具である。

厚生労働省は「臥位や座位で特殊寝台から車いす等へ移乗する際、臀部が滑りやすいように、また間隙や突起物などの障壁を越えやすいように、特殊寝台 と車いす等の間に敷いて使用する福祉用具である1)」と定義している。

滑りやすい素材・構造であるのが特徴であり、プラスチック製や木製、長方形、ブーメラン型など、さまざまな材質・形状がある。

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主に自力での立位保持や移乗を行うことは困難だが、座位保持が可能な患者さんに適している。特に、殿部を少し持ち上げられることが可能な患者さんや、麻痺などがあっても健側上肢が機能している場合に活用しやすい。

最大のメリットは、患者さんが座ったまま移乗できるため、抱え上げ介介助と比較して少ない力で介助でき、患者さんと介助者双方の負担が軽減する点である。また、無理な持ち上げを回避することで、転倒、皮膚損傷、骨折などのリスクの軽減にも繋がる。

厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」では、作業状況に応じた福祉用具の積極的な活用が推奨されており、スライディングボードは腰痛予防に有用な福祉用具のひとつとして挙げられている2)

使用にあたって、まず患者さんに十分説明して不安を軽減し、安心して移乗できるように援助することが重要である。実施時はベッドと車椅子の高さや位置を調整し、双方のストッパーやブレーキを確実にかけた状態で行う。座位が不安定な患者さんでは、前方へ滑り落ちる危険があるため、注意が必要である。

現場では使い慣れなさや、用具を取りに行く手間から使用をためらうこともあるが、患者さんと介助者の安全のため、保管場所や配置数の工夫、職員間での声かけの徹底などを含めて、活用しやすい環境を整える視点が大切である。

●用語を使用した例文
麻痺で立位が不安定な患者さんのベッド移乗に、トランスファーボードを使用した。

●用語に関連する国試過去問
Aさん(77歳、男性)は、脳梗塞による左麻痺があり、右膝の痛みにより立位が困難である。端坐位で殿部をわずかに持ち上げることはできる。妻(77歳)は小柄で、体格差のある夫の移乗の介助に負担を感じている。

Aさんのベッドから車椅子への移乗の際、妻の介護負担を軽減する福祉用具で適切なのはどれか。
1. 歩行器
2. ベッド柵
3. 電動介助リフト
4. トランスファーボード
第108回看護師国家試験(2019年)
解答

4



●引用文献
1)厚生労働省介護保険における福祉用具の選定の判断基準.(2026年04月16日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001635548.pdf
2)厚生労働省:職場における腰痛予防対策指針.(2026年04月16日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r98520000034pjn_1.pdf

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴



図/こさかいずみ
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