看護用語集

小児発達遅延

しょうにはったつちえん

小児発達遅延とは、子どもの年齢に応じた運動機能、言語機能、感情表現、認知機能などの発達が、期待される時期になっても十分にみられない状態である。NANDA-Iの看護診断では「小児が発達のマイルストーン(目安)を、期待される時間枠では継続して達成できない状態1)」と定義されている。発達に遅れが生じる可能性がある場合には、小児発達遅延リスク状態の看護診断が適用される。

小児発達遅延の背景には、低出生体重や早産など周産期に関連する要因や、感覚処理の困難や先天性疾患など子ども自身の特性のほか、貧困や家庭内暴力などの不適切な養育環境、母親の育児不安抑うつといった保護者の心理的問題など、さまざまな要因が複雑に関係している。

看護者は、子どもの発達段階だけでなく、保護者との関係性や家庭環境、地域資源の利用状況などを含めた多角的なアセスメントが求められる。支援を行う際は、保護者に対して発達を促す遊びや声かけ、日常生活でのかかわり方を具体的に伝えるとともに、育児に自信をもてるよう働きかけることが重要である。

また、必要に応じて、発達支援センターや保育所、学校、医療機関などと連携し、子どもと家庭のニーズに応じた継続的な支援体制を整えることが望ましい。

●用語を使用した例文
小児発達遅延がみられたため、『子どもが日常生活の中でできることを増やすこと』と『母親が子どもの成長を肯定的に受け入れられるようになること』を看護目標として立案した。

●引用文献
1)T.ヘザーハードマン,編:NANDA-I 看護診断 定義と分類 第12版.医学書院,2021,p.570.

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:山﨑博貴

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