看護用語集

死腔

しくう

死腔とは、呼吸器系のうち、ガス交換に関与しない領域のことをいう。

ガス交換が行われない鼻腔や口腔、咽頭・喉頭、気管、気管支、終末細気管支などを解剖学的死腔と呼び、成人では約150mLとされる。また、通常ガス交換が可能な肺胞において、何らかの原因で血流が減少したり、失われたりしてガス交換が行えない部分を肺胞死腔というが、正常時にはほとんどみられない。解剖学的死腔と肺胞死腔の総和を生理学的死腔(VD)といい、ガス交換の効率を表す指標となる。

一回換気量のうち、死腔の占める割合を死腔率といい、高いPEEPを加えた陽圧換気や肺塞栓症によって増加する。換気が血流よりも著しく大きい場合にも、肺胞死腔が増加したときと同様の現象が生じる。

■参考文献
●和田攻,他編:看護大事典 第2版,医学書院,2010,p.1259,1710.
  ●医療情報科学研究所,編:病気がみえる vol.4 呼吸器 第3版.メディックメディア,2018,p.25.


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:中村充浩(有明医療大学看護学部看護学科 講師)

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