看護用語集

球麻痺

きゅうまひ

麻痺とは、延髄にある舌咽神経(IX)、迷走神経(X)、舌下神経(XII)の運動核もしくは軸索の障害、あるいはそれらの神経が支配する咽頭、喉頭、舌の筋の障害をいう。延髄は球状に膨らんだ形状であることから、この部位が原因の麻痺麻痺という。後述する仮性(偽性)麻痺に対して、真性麻痺と呼ばれることもある。

麻痺をきたす代表的な疾患として、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)、ギランバレー症候群、多発性筋炎、重症筋無力症などが挙げられ、構音障害、嚥下障害、舌の萎縮といった症状がみられる。

延髄よりも上位にある中枢性運動ニューロンが障害されることで生じる麻痺は、仮性麻痺と呼ばれる。脳梗塞や多発性硬化症で起こり、舌の萎縮はみられないが、構音障害や嚥下障害をはじめ、病的感情障害(強制笑い、強制泣き)、下顎反射の亢進などが認められる。

■参考文献
●和田攻,他編:看護大事典 第2版,医学書院.2010.p.505, 746.
  ●医療情報科学研究所,編:病気がみえる vol.7 脳・神経.メディックメディア,2017,p.275.


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:中村充浩(有明医療大学看護学部看護学科 講師)

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