麻痺とは本来、運動障害を示す診断学の用語であり、感覚障害を示す用語ではないとされているが、後者を含む使い方も現実には行われている。しかし、不全麻痺という場合には運動障害を示すことが一般的であり、本稿ではその立場で記載する。
不全麻痺とは、運動機能が完全には失われず、一部の機能が残存した状態を指す。すべての運動機能が完全に失われた状態は完全麻痺という。
不全麻痺は頭部外傷、脊髄損傷、脳卒中、てんかん、脳性麻痺、糖尿病などで認められ、治療は原因により異なるが、リハビリテーション、運動機能を補完する補助用具の使用、薬物療法などが行われる。
監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:川上嘉明(有明医療大学看護学部看護学科 教授)