看護用語集

羞明

しゅうめい

羞明(photophobia)とは、「眼が光によって強く刺激されるため、光をまぶしく感じ、光をうけることを嫌う状態」1)をいう。羞明の範囲は、まぶしさを感じる程度〜物が見えづらくなるほどのまぶしさを感じるまでというように、広く捉えられている。

人間が物を見ることができるのは、外界の光が角膜・虹彩・水晶体を通り、網膜上に光が集まることで画像が映し出され、その画像の情報が視神経を通して脳に送られ、像として認識されるからである。そのため、光の量を調整する虹彩に異常がある虹彩炎、取り込んだ光が乱反射を起こす原因となる白内障や白内障の術後、角膜異常を生じるドライアイや角膜感染症・異物混入、斜視、網膜色素変性症などで羞明が生じる。

くも膜下出血や髄膜炎による髄膜刺激症状として羞明が起こることもあるが、原因は解明されていない。そのほかに、シルデナフィル、ボリコナゾールといった薬剤副作用として羞明が挙げられている2)。

羞明症状に関する調査報告書に、「羞明症状を我慢すると、眼の症状だけでなく、頭痛、倦怠感や疲れ、寝込む(起きていられない)など、身体的なダメージも生じている。またこうしたダメージが回復するまでに数日かかるという人も多くみられた」3)とあり、羞明による日常生活への影響が指摘されている。

治療としては、原因疾患が明らかになっている場合は、その疾患の治療を行う。羞明症状に対しては、サングラスや帽子の着用、遮光カーテンの使用、照明の種類変更や間接照明への変更、パソコンやスマートフォンの輝度を下げるなど、日常生活の中で光を減らす工夫を行い対応する。

■引用文献
1)鈴木肇:南山堂医学大辞典 第19版.南山堂,2006.p.1112.
2)厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 網膜・視路障害 平成21年(令和元年9月改定).p10-1.(2023年3月27日閲覧)
https://www.pmda.go.jp/files/000231679.pdf.
3)社会システム株式会社:令和2年度 障害者総合福祉推進事業 羞明等の症状により日常生活に困難を来している方々に対する調査研究 報告書.p.198.(2023年3月27日閲覧)
R02_syumei.pdf">http://www.crp.co.jp/business/universaldesign/R02_syumei.pdf


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:森山 希(有明医療大学看護学部看護学科 助教)

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