看護用語集

自己効力感

じここうりょくかん

自己効力感とは、ある状況において、自分はある行動を遂行できるという可能性を認識していることを指す。バンデューラ(Bandura)が社会的学習理論のなかで提唱した概念で、自己効力感が強いほど、実際にその行動を遂行できる傾向にあると述べられている。

自己効力感を測定する方法として、16の質問項目からなる「一般性セルフ・エフィカシー・スケール(GSES)」がある。

自己効力感の認識に影響する因子として、バンデューラは下記の4つを挙げている。
・遂行行動の達成
実際に行動を遂行し、行動達成が行えたという成功経験を持つこと。成功体験があればプラスに、失敗体験があればマイナスに作用する。
・代理経験
他者が行動を遂行し、その行動結果を観察すること。観察学習のこと。
・言語的説得
「やればできる」という自己教示や、他者からの成功できると思わせる説得・声かけのこと。経験がなく困難に直面すると、その効果は急速に消失する。
・生理的情緒的状態(情動的喚起の情報)
心拍数の上昇や緊張、震えなど生理的・情動的反応の変化の自覚のこと。緊張などを自覚することで、自己効力感を感じにくくなる。

自己効力感は、患者の行動達成に大きく影響し、患者が療養行動を遂行する上で重要な資源となる。自己効力感を高めるよう援助することは看護の役割のひとつである。

糖尿病などの慢性疾患患者リハビリ期の患者高齢者などに対する自己効力感に関する論文では、自己効力感と療養行動の達成や継続に正の相関があることが報告されている。看護計画に、自己効力感を高めるケアを取り入れることは非常に重要といえる。

また、看護師看護学生自己効力感の向上は、課題への積極的な取り組みを促し、自己成長につながることが期待できる。

執筆:広田沙織
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