肺サーファクタント
はいさーふぁくたんと
肺サーファクタント(肺界面活性物質)とは、肺胞の虚脱を防ぐために必要なリン脂質を主成分とした界面活性物質である。肺胞表面は表面張力が働き肺胞には縮もうとする力が働くが、肺サーファクタントにより表面張力を小さくすることで肺胞がつぶれず球体を保つことができる。
ヒトの肺サーファクタントは、Ⅱ型肺胞上皮細胞においてグルコースや脂肪酸などから生合成され、肺呼吸を行う前の在胎28週ころから肺胞内への分泌が始まり在胎34週から分泌量が増加する。また、分泌される肺サーファクタントの一部は羊水中にも認められるため、羊水の肺サーファクタントを確認する(L/S比・マイクロバブルテスト)ことで胎児の肺の成熟度を知ることができる。肺サーファクタントが関係する疾患としては、肺サーファクタントの不足による呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome of the newborn:RDS)がある。RDSは、肺サーファクタントの分泌量の少ない時期の早産児に生じ、肺胞虚脱に伴う呼吸アシドーシスや呼吸不全を招く疾患である。治療としては、1980年代に発表された人工肺サーファクタント投与が有効である。また、1週間以内に在胎34週未満の出産が予測される際は、RDSの発症予防や重症度の軽減を期待し、肺サーファクタントの産生を促がす作用を持つコルチコステロイドを出生前の母体に投与する。
参考文献
・仁志田博司:新生児学入門 第3版.医学書院.2004.
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