看護用語集

浣腸

かんちょう

浣腸とは、便秘治療や検査や手術の前処置として行われるもので、直腸へ浣腸液を投与することで排便を促す手技である。

浣腸の手順は以下のとおりである。実施には医師の指示が必要である。
1.浣腸液を人肌程度(約40℃)に温める
2.患者さんの体位を左側臥位にする
3.浣腸液を投与するチューブの先に潤滑剤を塗る
4.肛門から5〜6cmほど挿入して適切な量をゆっくり投与する
5.この際に腹部と肛門の筋肉を緩める目的で、患者さんに口呼吸を促す
6.浣腸液が完全に注入された後、可能であれば患者さんに3~5分ほど我慢してもらった後排便させる
7.実施後は、反応便と出血、腹部症状拍数、気分不快の有無など観察する

手技を行う際には、患者さんに手技の目的と方法を説明し、特にプライバシーを確保することが重要である。また、患者さんの姿勢や体位によって腸管穿孔のリスクが高まるため、必ず適切な姿勢や体位で行う。

浣腸は比較的安全な手技ではあるものの、いくつかのリスクや禁忌が存在する。例えば、頻繁に浣腸を実施することで、浣腸をしなければ排便が促されない状態に繋がる恐れがある。また、腸管に穿孔またはその恐れがある場合、腸管内や腹腔内に出血や重度の炎症がある場合は禁忌とされている。そのため、実施前には浣腸の実施が適切か検討する必要がある。

浣腸便秘に対して有効な処置だが、十分な水分や食物繊維の豊富な食事を摂取すること、適度な運動など生活習慣の改善によって便秘予防に繋がる可能性があることもあわせて説明する。

●用語を使用した例文
手術の前処置としてグリセリン浣腸を実施する。

●用語に関連する国試過去問

グリセリン浣腸を準備する際の浣腸液の温度で適切なのはどれか。
 1.20℃
 2.30℃
 3.40℃
 4.50℃
 第112回看護師国家試験(2023年)
 
解答

3


●参考文献

PMDA医療安全情報:グリセリン浣腸の取扱い時の注意(2024年6月16日閲覧). https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000022381.pdf
日本看護技術学会:看護技術のQ &A グリセリン浣腸Q &A(2024年6月15日閲覧). /https://jsnas.jp/system/data/20200403114455_a45v0.pdf
日本内科学会:日本内科学会雑誌109巻2号 慢性便秘診療ガイドライン2017(2024年6月15日閲覧). https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/2/109_254/_pdf

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
監修:掛本知里(有明医療大学看護学部看護学科 学部長・学科長)
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