看護用語集

外転枕

がいてんまくら

外転とは、人工股関節置換術の術後合併症の一つである人工股関節の脱臼予防を目的に使用する硬めのスポンジ装具のこと。股関節の内転を防ぎ、肢位の外転位を保持するために術後から約3週間、両足に挟んで使用する。その後も、股関節周囲の軟部組織や筋肉などが回復するまでの術後早期(3カ月程度)は脱臼に注意が必要となる。

術後脱臼の発生頻度は人工股関節置換術の術式によって異なり、一般に、筋肉を切り離さずに行う前方アプローチは、短回旋筋を大転子後方で切り離す後方アプローチよりも頻度が低いとされる。また、脱臼肢位においては、前方アプローチでは過伸展や伸展・内転・外旋の複合動作で前方脱臼しやすく、後方アプローチでは過屈曲や屈曲・内転・内旋の複合動作で後方脱臼しやすい。

脱臼は一度起こると再発するリスクが高まるため、予防措置が重要となる。外転による外転位保持とともに、ベッド上動作での禁忌肢位や日常生活動作での注意点など、患者へのわかりやすい脱臼予防指導が求められる。


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)

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