看護用語集

永久気管孔

えいきゅうきかんこう

永久気管孔(permanent tracheostoma)とは、患者の前頸部に造設する呼吸をするための孔(穴)のことである。これは、喉頭がんなどに対し喉頭全摘出術を行う場合や、重度の嚥下障害のある重症心身障害児の誤嚥予防のための喉頭気管分離術を行う場合に造設される。一度造設すると閉鎖できない。永久気管孔は、気道と食道を完全に分離した状態であり、患者は口や鼻から呼吸することはできない。入浴時は気管孔に水が入らないように気をつける必要があるが、気管孔を塞いではいけない。なお、「気管切開」とは別物である。気管切開とは、重度の呼吸困難を改善するために、前頸部で気管を切開して気道を確保する処置である。この場合、気管は喉頭部から咽頭部へつながっているため、気管切開部を閉鎖すれば通常の機能を取り戻すことができる。気管切開の適応は、上気道の狭窄や気道内分泌物による閉塞、長期間の人工呼吸器での管理が必要な場合などである。

参考文献
・日本医療機能評価機構:医療事故情報収集等事業第46回報告書,2016.
https://www.med-safe.jp/pdf/report_2016_2_T003.pdf(2022年11月30日閲覧)
・井部俊子,箕輪良行監:気管切開術.図解看護・医学辞典 第8版. 医学書院.2017.p.181.


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:小野香奈(有明医療大学看護学部看護学科 助教)

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