看護用語集

切迫性尿失禁

せっぱくせいにょうしっきん

迫性尿失禁とは、排尿の抑制が十分にできなくなることで急に強い尿意が生じ、トイレまで我慢できずに漏れてしまうことである。

切迫性尿失禁は、刺激などにより膀胱が勝手に収縮する過活動膀胱の症状の1つであり、突然強い尿意を感じる尿意切迫感や頻尿がみられる。

切迫性尿失禁の原因はさまざま存在する。例えば、脳梗塞、パーキンソン病、多発性硬化症など、脳や脊髄への障害により脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経回路にも障害が起こることで、排尿に関する指令が正しく行われなくなることが挙げられる。

また、加齢による膀胱の収縮機能の低下、前立腺肥大症、膀胱がんなどの疾患も原因となり得る。さらに、女性の場合は出産によって膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすると、排尿のメカニズムがうまくはたらかなくなり、過活動膀胱が起こり切迫性尿失禁につながることも考えられる。

そのほか、はっきりとした原因が不明である場合も多く、湿気の多さ、冷え、月経前、性交、冷たい水の使用、流れる水の音を聞いたとき時の刺激などが原因となる場合もある。

切迫性尿失禁の主な治療方法は抗コリン薬やβ3受容体作動薬など を使った薬物療法である。また、排尿を我慢する膀胱訓練や骨盤底筋体操などの行動療法も並行して行う。これらの治療により改善が見込まれることが多い。

●用語を使用した例文
切迫性尿失禁で最もよく見られる症状は突然起こる強い尿意であり、トイレに駆け込んだが間に合わなかったなどの経験があげられる。

●用語に関連する国試過去問

尿失禁の種類と対応の組合せで正しいのはどれか。
 1. 溢流性尿失禁 ― 排尿間隔記録
 2. 機能性尿失禁 ― 骨盤底筋訓練
 3. 切迫性尿失禁 ― 下腹部への軽い刺激
 4. 反射性尿失禁 ― 間欠的自己導尿
  第110回看護師国家試験(2021年)
 
解答

4



●参考文献

日本泌尿器科学会:尿が漏れる・尿失禁がある.(2024年10月24日)https://www.urol.or.jp/public/symptom/04.html
内薗 耕二 他,監:看護大辞典 第4版.メジカルフレンド社,1994年,p1568
尾上 尚志 他,監:病気がみえる vol.7 第2版.メディックメディア,2017年,p210

監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:古田さん

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