看護用語集

予期悲嘆

よきひたん

予期悲嘆とは、死期が迫りつつある患者やその家族が死を想定して喪失感を抱き、悲嘆を体験すること。死にゆく人に対してお別れの言葉や愛の言葉を伝えるなど、やり残していたことを済ませる時期でもある。

家族の予期悲嘆の体験は、患者の死が現実になったときの衝撃や悲嘆を軽くするとともに、悲嘆からの立ち直りを早めることがある。つらさや悲しみを心に秘めておくよりも表現したほうがよいと家族に伝え、必要なときには感情を表出するよう促し、家族が患者を十分に介護できたという充実感をもてるような支援が求められる。

予期悲嘆は、家族がこれから起こることに対処する助けになる一方、死期が迫っている患者にとっては制御できないほど大きな問題となる。愛と憎しみ、悲しみと喜び、怒りと自責など、相反する感情を伴うため、十分な心のケアが必要になる。

■参考文献
●日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団:がん緩和ケアに関するマニュアル 第8章 家族のケア.(2023年6月27日閲覧)
https://www.hospat.org/practice_manual-8-1.html
●中野貞彦,他:終末期から始める、家族へのグリーフケア.コミュニティケア 2017;19(8):10-26.


監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:乙黒千鶴(有明医療大学看護学部看護学科 講師)

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