下顎呼吸とは、吸気時に下顎を上下させ、空気を飲み込むような動きをする呼吸のこと。放置すると数分で死に至る場合もある。似たような状態を表わす言葉としてあえぎ呼吸、死戦期呼吸がある。
あえぎ呼吸は、深い吸気と速い呼気が続いたあとに長い呼吸停止を伴う努力様呼吸で、放置すれば確実に死に至る。死戦期呼吸は「しゃっくりをあげるような途切れ途切れの呼吸」のことで、心停止直後にしばしばみられる。
下顎呼吸とあえぎ呼吸は死戦期呼吸に含まれる。いずれも呼吸をしているようにみえるため、呼吸運動と誤って判断される場合があるが、有効な呼吸ではないため、治療処置を必要とする。
監修:林 洋(東京有明医療大学 学長)
執筆:川村未樹(有明医療大学看護学部看護学科 助教)